詳細報告

13日、商標法違反などで逮捕されていたL&K社長の陸さんら4人は全員、釈放されました。
陸さんは1)古物営業法違反の件で不起訴 2)商標法違反と不正競争防止法違反の件で罰金80万円の略式命令を簡易裁判所で受けました。陸さん以外のL&Kのスタッフ3人は全員、不起訴です。

メディアでは、「SIMロックを不正に解除した」などと書き立てられ、SIMロック解除自体が違法であるかのような報道がなされましたが、結局、警察。検察はSIM Lock解除の違法性を指摘できませんでした。SIM Lock解除はそれ自体、合法です。

2)の商標法違反と不正競争防止法違反とは、通例では、偽ブランド品の販売などに適用される罪状です。警察の言い分としては、SIM Lockを解除した結果、もとのVodafoneの携帯電話は改造品となり、純正のVodafone製品ではなくなったにもかかわらず、Vodafone製品として売ったから、偽ブランド品と同様の罪だ、というのです。
私は複数の法律の専門家にこの解釈について尋ねてみましたが、一致して云うことは、解釈と適用に無理がある、ということでした。Vodafoneの製品の品質をおとしめたわけでもないし、顧客を騙したわけでも、損害を与えたわけでもないからです。陸さんの担当弁護士も同じ意見です。不同意にして法廷闘争に持ち込めば、無罪を取るのはそれほど難しくない、ということでした。
しかし、警察は予め、適用に無理があることを承知の上で、別の策を打っていました。それが、陸社長以外の3人の逮捕です。会社の意志決定はすべて、陸社長が行っていましたから、スタッフ3人になんの罪もないどころか、無関係だということは、警察も分かっていました。しかも、3人のうち一人に至っては、未成年の留学生の女の子です。(しかも可愛いです!!(怒))
陸さんが起訴状に同意せず、法廷闘争に持ち込めば、陸さんだけでなく、無関係の3人までが巻き添えに拘置所に入れられてしまいます。
それだけではありません。陸さんには病気の家族がいて、長いこと家を空けて法廷闘争を続けられない家庭の事情を、警察は事前の内偵捜査で掴んでいました。でたらめな法の援用で陸さんを逮捕したのは、予め陸さんの弱みを握っていたからです。

警察は、できれば、「商標法違反」のいかがわしい適用ではなく、SIM Lockの解除を著作権法違反にあたると立証して適用したかった経緯があります。しかし、知識のある方はご存じでしょうが、SIM Lockはキャリアの著作物ではなく、よって解除はその権利侵害には当たりません。

警察がそんな基本的なことも知らなかったのかどうかが、私にとってはこの事件に関する最大の謎でした。知っていた上で、立件できないことを承知で検挙するなんて話は聞いたこともありません。
その謎は、釈放後に陸さんから聞いた、取り調べの模様から、氷解しました。
陸さんを取り調べた担当刑事は、陸さんにこう語ったそうです。
「おまえは自分がなぜ捕まったか分かっているか?SIM Lockを解除した携帯電話が出回ったりしたら、オレオレ詐欺が増えるじゃないか」

えー…笑わないでください。これ、大まじめに言ったそうです。

私は警視庁組織犯罪対策一課の知識水準の低さに、笑いを通り越して、寒気がしました。SIM Lockを解除した電話は所有者が分からなくなって犯罪に利用される、といいたいらしいです。つまり、SIMとはなんだか、全く分かっていないのです。SIM Freeだろうが、SIM Lockedだろうが、携帯端末そのものに名前でも書いていなければ、所有者を特定する決め手にはなりません。しかし、電話番号はSIMカードに登録されており、これは身分を明らかにした上での契約を伴います。端末と回線はもともと独立しているのです。ですから、SIM Lockを解除するかどうかと、所有者を偽装した携帯電話を使った犯罪には、なんの関係もありません。

まあ、そういう連中が、今回の愚劣で卑劣極まりない、恥ずべき事件を捏造したわけです。訳も分からず、Sondafoneに相談されて、煽られて、騙されて、踊ったのです。たぶん、総務省の資料すら読んでいなかったのでしょう。こういう世紀のバカが、日本では警察やってるんです。そりゃ、オレオレ詐欺もやり放題だわな。

当然、こういう低脳集団にとっては、SIM Lock、はては携帯キャリアの鎖国的政策がどれほど日本全体の繁栄を阻害してきたか、思いも寄らないでしょう。キャリアと端末を強制的に結びつけることでユーザの選択権を奪い、本来あるべき競争を避け、その結果、日本は技術力を失いました。また、世界との繋がりを強制的に断たれた国民は、客観的な視点で世界を見る機会をも失いました。世界の一番端っこの、小さな島の住民は、ますますムラ社会化し、どんどん世界に通用しない独自の掟に凝り固まってゆきます。まあ、その典型が警視庁組織犯罪対策一課とその提灯持ちメディアというわけか。マッチポンプだな。

本来、あれほどの人員を動員して、提灯マスコミに虚偽情報まで事前リークして、時間と予算をかけた大捕物をやらかしたら、ちゃんと正式起訴して、地方裁判所で有罪判決を取らなければ、点数制の警察としては「失敗」となります。しかし、当然ながら今回それはできませんでした。SIM Lockの違法性立証に失敗したからです。商標法違反なんて意味不明の罪状で略式起訴では大山鳴動して鼠一匹ということになります。
それですら、陸さんにとって大変不名誉で、身に覚えのないことですから、本当のところは最後まで裁判で事実を語って、完全無罪を勝ち取りたいところでしたが、先に説明した事情があり、全員を釈放させる方を選んだ次第です。
ただし、弁護士によると、今回は罰金刑とはいえ略式であって、法廷で争ったわけではないので、今後の判例となって、今後、SIM Lock業者が商標法違反に問われると決まったわけではない、ということです。万が一、今後再び警察がこうしたデタラメを繰り返せば、そのときは最後まで法廷で争って白黒付けることができるだろう、とのことでした。

もし、商標法違反に問われるリスクも避けたいと思ったら、SIM Lock解除を国内で行わず、海外に送って、現地で解除すれば大丈夫です。携帯電話を契約後即時解約することも、SIM Lockを解除することも、海外に転売することも、それ自体一つ一つはまったく合法ですが、SIM解除と売却をセットで行ったときに、売国警察につけいられるリスクが出てきます。

さて、L&Kの業務をどうしてゆくかという問題ですが、陸さんとしては、今後はVodafone/SoftBankのSIM Lock解除ではなく、Vodafoneよりずっと優れたNokiaWindows Mobileスマートフォンの輸入販売の仕事に集中したいそうです。SIM Lock解除の仕事は他の皆さんに譲ると。これは、今回の事件前から陸さんが暖めていた計画でした。日本に自由な通信を普及したいという陸さんの思いは、アホどもの不当な迫害を経ても変わっていません。

弁護士の話では、ヒステリックだった警察と違って、検察は今回、冷静で、事件がそんなたいそうなものではないと分かっていたそうです。警察もそうでしょうが、彼らはインターネットを使った情報収集もしますから、当然、今回の事件の反応が決して、捜査当局を応援するものではなく、陸さんの味方の声ばかりなのに気づいたでしょう。たぶん、それは検察の意志決定にも影響したのではないかと思われます。今回の事件を正式起訴でなく、最低限の略式起訴に留めたのは彼らです。
ネット上でSIM Lockの問題について考えてくださった皆さん、日本の通信鎖国と呼ばれる現状に声を上げてくださった皆さん、今回の事件について考察してくださった皆さん、陸さんを応援してくださった皆さん、お陰で陸さんら4人は自由の身になれました。本当にありがとうございました。