思うに…

VoIP関連の話題とデバイス関連の話題とでは、関心を持ってくださる方の層が全然違う気がします。私の場合はデバイスマニアというわけではなく、もともと通信マニアです。ですから、デバイスは実用面だけ、それも、通信に関する実用性だけが気になります。
そもそも、某発展途上国の紛争地に出張した際に、衛星電話以外の通信手段が一切ない中で、どうやって日本の仕事相手と連絡をつけたものかと腐心したことが、この世界に足を踏み込んだきっかけです。そして、少々学ぶにつれて、どんな発展途上の独裁国家よりも、日本の通信事情がもっとも不自由で閉鎖的で理不尽だということを知る羽目になりました。VoIPというのは、SIP方式であれ、P2Pであれ、そういう不自由な環境を根本から覆す自由な音声通信手段です。そして、実際に通信を試みるにあたって、モバイル環境からその通信を発することができるというのは、実用面で大きなアドバンテージになります。しかし、これまでのところ、携帯電話サイズの小型モバイルデバイスから常用のVoIPを利用することは、ほぼ無理でした。Wi-Fiを使ったVoIPは多様化していますけれども、日本には少なくとも公衆ブロードバンドのインフラがありません。都市部のさらに限られた地域に、HotSpotの形で点在するに過ぎず、常用には程遠いものがあります。
Call Back方式を利用したモバイルVoIPというのは、この点でコロンブスの卵的な発想だと思います。なにしろ、Wi-Fiも、極論すればGPRSすら要らないのですから。現在はまだ、使い勝手の面で少々煩雑な操作が必要なところが残っていますが、今後の開発の余地も大きく残されています。たとえば、現在WAPブラウザからCallするという手順を、特定の番号を「ワンギリ」することで動作させるとか。いやあ、楽しみです。
将来的には、WiMAXなどのインフラが整備されて、Call Back式VoIPも役割を終えるでしょうけど、それまでの数年間、国内で高い通話料を払ってガマンするということは、私にはできません。また、途上国ではWiMAXなんてまだまだ、という地域が残るでしょう。やはりCall Back式VoIPを推し進めてゆかねば。