これからはSymbianとWindows Mobile――L&Kの挑戦

 以前、Vodafone3G端末(902SH)のSIM Unlockでお世話になって以来、大久保のL&K社に注目していたのですが、ここんとこいよいよ入りびたりっぽくなっています。といいますのも、ベンチャーのL&K社が日本の通信業界について、明確なビジョンを持って、大胆かつ興味深い試みを続けているからです。
 いわく、SIM Lock解除という仕事がいつまでも独立系小企業の商売として成り立ってゆけるとは思わない。VodafoneSoftBankに変わるタイミングで、彼らがなんらかの政策変更を打ち出してくる可能性も高いし、DoCoMoについても、これから世界との共通化の方向に向かうことは間違いがない。そのため、英国のようにキャリアが正式な手続きでSIM Unlock業務を始めるかもしれないし、アジア諸国のように初めからSIM Freeの端末が販売されるようになるかも知れない。SIM Unlockという仕事は、日本の携帯業界が鎖国状態から開国状態に移行する過程で生じた矛盾点に生まれた、あくまで一時的に成立したビジネスに過ぎない。
 では、L&Kのような小企業がこれからどう生きてゆけばいいのかというと、通信業界の激動の中に、次に生じる「ビジネスの隙間」をできるだけ早く見つけて、その「隙間産業」に食い込むしかない。そして、現在、日本のキャリアがどうしても及び腰になる分野がスマートフォンだ。彼らがこれまで培ってきたコンテンツビジネスを台無しにする危険を孕んでいるから。彼らが出遅れるタイムラグをベンチャーはむしろチャンスにできる。キャリアがどうしても日本に持ち込みたくない世界の優れたスマートフォンを、一足早く日本に紹介することで、やはりその隙間に生き残りの道を見つけることができる、というのです。
 最近、L&K社はNokia N80のほぼ完全な日本語化に成功し、輸入販売を開始しましたが、この反響たるや驚くべきものになっています。初めに仕入れた30台がその日のうちに完売してしまったのだそうです。価格88,000円もするにも拘らず!「日本にはインセンティヴがあるから、海外メーカーは参入が難しい。0円端末には太刀打ちできない」なんていってたのは誰?
 L&Kの陸社長は、「これからはNokiaSymbian)とWindows Mobileだと思う」と、話しています。これらはOSを搭載したスマートフォンですから、ユーザ/二次販売者にとっての自由度が高く、独自に言語を書き換えたりして中小企業の力でもカスタマイズ/ローカライズして販売したり、カスタマイズそのものをサービスすることが可能だということです。そして一方ではキャリアが恐れをなして、日本への導入に及び腰だということとで、ベンチャーにとって有利です。
 そして、この方針は暗黒の道を行く我ら「死ね死ね団」の利害とも一致するのです。いや、初めからそこが言いたかっただけなのですけど。日本語化され、SIM Free化されたスマートフォンが日本で自由に使えるようになれば、いつでも、どこでも、誰とでも、繋がることができるようになるのですから。