shamilと申します。
ウェブ日記というものは別に書いているスペースがあるのですが、この場ではあくまで、本業に関することではなく、技術的な内容だけを書いてゆこうと考えています。

海外で活動する取材者の他、海外で活動するNGOや国際機関関係の方、海外在住者などの参考になるといいな、なんて考えています。でも、長く続く気は今のところしていません。ネタがすぐに尽きてしまいそうですから。

そもそも私は、フリーとして活動を始めてからつい数年前まで、取材のための機材というものをほとんど持っていませんでした。デヴューした98年から00末年までは、一眼レフの一台も持っておらず、朝日新聞の一面トップに提供した写真ですらポケットカメラで撮影したものだったのです。「日本一ビンボーなジャーナリスト」と雑誌に書かれたことすらある私ですから、所持機材が貧相なのも仕方がないことです。

デヴューする前は某地方都市のローカルテレビの報道記者を勤めていました。会社を辞めてフリーになることを考え始めた頃から、少しずつ必要と考えた機材を揃え始めました。まず、97年にノートパソコン「SHARPメビウス」を、続いて3CCD方式のビデオカメラ「SONY-VX1000」を。会社を辞めると同時に98年に購入したのがポケットカメラの「CONTAX-TVSⅡ」でした。Sony VX1000

SONY-VX1000」と「CONTAX-TVSⅡ」だけを持って、会社を辞めた三日後にアフガニスタンへ向かいました。当時のアフガニスタンは電力事情が極端に悪く、一部の大都市にしか電気はないし、それも停電ばかりでした。当時のVX1000のバッテリーは、満充電で40分しか作動しなかったので、私は電気のある都市に宿泊する度にビデオカメラの電池を充電して、戦場になっている地方都市で使い切ると、また電気のある都市に移動する、というような取材をしていました。

帰国後、TVSⅡで撮った写真は朝日新聞といくつかの雑誌に、VX1000で撮ったビデオはNHKのニュースなどで発表しました。今にして思うと、最低限の機材を最大限に活用したと思います。CONTAX TVSⅡ

一昨年、イラクで戦争が始まったとき、バグダッドに集まった各国のジャーナリストたちは誰もが 1)一眼デジカメ 2)インマルサット衛星電話 3)ノートパソコン の「三種の神器」を持ち込んでいました。それらを活用して、彼らは通常通信手段の断たれたバグダッドから本国に写真や記事、音声、映像のリポートをリアルタイムで送り続けたのです。私はこれら機材のうちひとつとして持っていませんでした。一眼レフは中古のフィルム式でしたし、パソコンはメビウスがとうの昔に壊れたあと、持っていませんでした。インマルサットM4


その二年前にはアフガニスタンに米国が攻め入りましたが、このときはジャーナリストたちの間では一眼デジカメこそ普及していませんでしたが、衛星電話はすでに使われていたそうです。それに、このときはビデオカメラも、私がアフガニスタンで使ったVX1000よりも新しいものが出て、バッテリーも5時間も駆動するものに取って代わっていました。このとき私はアフガニスタンではなく、カフカスアブハジアの戦場にいましたが、長年使ってきたVX1000と、ようやく手に入れていたCanonのEOS1Nというフィルム式の一眼レフはこの取材で大破しました。